栃木県那須町に薪サウナや天然温泉を完全プライベートで楽しめる一棟貸しヴィラ「COCO VILLA 那須白河」が2024年末にオープンした。
2階建ての貸別荘を独占できて、サウナ小屋や露天風呂、庭ではパターゴルフを楽しめるウェルビーイングすぎるアウトドアヴィラだ。
今回2025年4月上旬に体験取材をした内容を紹介していく。
この宿泊施設の目玉は、庭に併設された本格的な薪サウナ。4〜6人でゆったり入れる広さで、しかも完全貸し切り。誰にも邪魔されることなく、自分たちのペースでサウナを楽しめる。
Contents
【サウナ】木造のサウナ小屋で自然と一体になる薪サウナ体験
サウナは「サムライサウナ」と呼ばれる、国産のサウナ小屋。熱が逃げやすく、全身が温まりにくいテントサウナと比にならない保温性だ。サウナ単体でも施設として成立するレベルの設備である。
薪サウナももちろんセルフで作り上げる。薪をくべ、火を起こし、自分たちの手で好きな温度をつくっていく体験は通常のグランピングサウナにはない非日常を体験できる。
1時間〜2時間ほどでじんわりと80℃前後まで温まり、薪サウナならではの遠赤外線効果で熱の当たりが心地よく感じられた。都会の電気ストーブとは違って体にも優しいまさに休暇らしいアウトドアサウナだった。
2段ベンチとセルフロウリュ、インテリアは自然。大パノラマの窓
2段の座面、段差はやや高め。高低差も一般男性の膝下程度の高低差があるため、自分に合った温度を選べるのも一棟貸しのサウナらしい。セルフロウリュでさらに好きをカスタム。ブラックフォレストや白樺など、サウナフレグランス 「rento」のアロマを希釈してロウリュをすれば、室内にも山々が広がるような気分に浸れる。
湿度と香りを整えたら、顔を上げてみてほしい。内装は、自然。座面に座って正面と左側の2面に設けられた大きな窓からは、那須の山並みと眼下の湖を望むことができる。広がった自然の香りと実際の景観を同時に浴びる。自然との一体感は抜群だ。車で山を登ってきた道中を振り返ると、まるで登山のゴールに現れた、山の中のご褒美サウナのようだった。最高だ。
【水風呂】那須の地下水かけ流し
みんなで一つ、だからいい。シェアして浸かるアウトドア水風呂
薪サウナでしっかり火照った体を冷ますのは、サウナ室の脇に寄り添う壺湯タイプの水風呂だ。壺は1槽、シンプルな設備ながら、その体験は格別だ。
サウナに入る前に、ホースで壺を軽く洗い流すそう。落ち葉など、自然のかけらを除いてから新鮮な水を注ぎ込む。この作業もアウトドア。
まるで天然の沢水を手に入れて、そのまま自分たち専用の水風呂にしてしまったような感覚になれる。グループで訪れた場合は、順番にひとりずつ利用するスタイルになるが、そもそも仲間同士の宿泊だ。その“順番待ち”すらもコミュニケーションが生まれて楽しい。
那須の天然地下水を自由に“かけ流す”
この水風呂の最大の魅力は、那須の地下から汲み上げた天然水を惜しみなくかけ流しにできることだ。掛け流し続ければ、水泡を含み水質がとても柔らかくなる。体を包む感触がやさしくて、気持ちいい。
もちろん、かけ流しのため常に清潔である。壺型ゆえ水の入れ替わりも早く、安心して何度でも入れる。
季節の温度、自然のままに
水温は季節によって変動するが、体験時の4月上旬では15〜16℃ほどだった。冷却装置のチラーはなく、完全にその時の水を水風呂にするナチュラルな仕様。冷たすぎず、長く入っていられる快適な冷却感があった。
使用した水は、壺からあふれ出てそのまま大地に染み込んでいく。高台にあるこの施設では、余分な水が山肌に吸い込まれ、自然へと還っていく。環境に負荷をかけずに楽しんでいる実感が湧き、メンタルにもエコで心地いい。都市のサウナでは得られない、自然とつながる水風呂に浸かれた。
【ととのいスペース】3種の大自然外気浴
サウナの魅力は“ととのい”にこそある——そう語る人も多い。ここでのととのい体験は、まさにその言葉を体現するようなものだ。那須の豊かな自然を背景に、心も体もゆるやかに解き放たれていく時間が待っている。
ととのいスペース① 水風呂から数歩、絶景のととのいチェアへ
薪サウナから出て、水風呂で火照りを冷ましたその足で、すぐそばに置かれた2脚のColeman製インフィニティチェアに直行。視界を遮るものがない。脚を伸ばしてリクライニングを深めると、視界に広がるのは那須の山並み。見上げれば空。体を起こせば湖を眼下に望める。深く深呼吸をすれば、那須の山の一部になり、体という個体が溶けていくような不思議な没入感がやってくる。
ととのいスペース② ウッドデッキとハンモック
宿泊棟にはウッドデッキがある。ここもサウナ後には格好のととのいスペースになる。テーブルセットとともに設置されたハンモックは、横になるのもよし、ゆらゆらと揺られながら半瞑想状態に浸るのもよし。木のぬくもりと開放感のある空間が、ととのいタイムをより豊かなものにしてくれる。
天気がよければポンチョを羽織ってデッキに直接寝転がっても心地いい。
ととのいスペース③ パターゴルフ場の芝生
施設の中央には、パターゴルフができる芝生が広がる。プレーをするだけではもったいない。芝の上に寝転がってしまおう。椅子の数には限りがあるが、芝は広い。大の字になれば、自然に帰る感覚もある。
ととのいプラスアルファ 夜は焚き火でととのう
夕暮れ時からは、ととのいスペースに用意された焚き火台が活躍する。自分たちで火を起こし、ぱちぱちと鳴る薪の音をBGMにすれば、快感が増幅する。冷えた足元をじんわりと温められ、昼とはまた違った深い休息ができるのだ。夜空の下、揺れる炎を眺めていると「気持ちいいね」、会話にも自然に火が灯っていく。贅沢だ。
座る、寝る、揺れる、眺める、火にあたる——五感をすべて開放しながら、自分だけのととのい方をカスタムしよう。
【天然温泉・露天風呂】山の中腹で極上アウトドアバスタイム
日中のアクティビティやアウトドアの後、宿泊棟でも入浴ができる。石造りの浴槽から、窓いっぱいに広がる自然を望む半露天風呂。屋内でも森の中にいるかのような景観を味わえた。ReFaのドライヤーなどアメニティのクオリティも申し分ない。
天然温泉の露天風呂
「COCO VILLA 那須白河」での滞在を、より豊かに彩ってくれたのが、専用の露天風呂だった。サウナやBBQ、自然アクティビティと並ぶ“もうひとつの主役”ともいえる存在だ。
ウッドデッキの先、山の中腹からの清々しい風に吹かれながら、天然温泉の湯船に身を沈める——そんな贅沢な時間を、完全プライベートで堪能できる。
この露天風呂は、なんと源泉かけ流し。赤いレバーをひねると、熱々の天然温泉が勢いよく湧き出す。季節によっては、サウナの後にそのままこの露天風呂へ——なんてととのい方もあるだろう。特に寒い季節の温泉浴は、体の芯からじんわりと温まる心地よさを与えてくれる。
景色もまた、ごちそう
露天風呂が設置されているのは、小高いロケーション。湯船に浸かると、目の前には那須白河の山々が広がり、まさに絶景だ。
完全にプライベートな空間だからこそ、周囲を気にせず裸で入浴することも可能(もちろん基本は水着スタイル推奨だが)。
持ち込んだドリンクを片手に浸かった露天風呂は忘れられない。温泉でワインやクラフトビールをやるのは、背徳感すら覚えるほど贅沢だった。サウナでととのって、風呂でほどける。ぜひ試してみてほしい。
内湯とつながる露天風呂
湯船のサイズは2〜3人でゆったり、4人でも入れる程度の正方形。コンパクトながら、自然と対話するにはちょうどいい広さだ。
また、お湯の温度は高めなので、水を足して好みに調整できる。
ただし、放っておくとあふれるほど温泉が出続けるため、水量の管理は忘れずに行いたい。近くのパターゴルフ場がびしょ濡れにならないよう、そこだけは注意が必要だ。

さらに特筆すべきは、屋内風呂との連携。内風呂と露天とは、ドア1枚で行き来ができるため、山の天候に左右されずに入浴を楽しむことができる。ウッドデッキからすぐアクセスできる動線は、サウナ、温泉をシームレスにする掲載された設備だった。
サウナーに嬉しい“水風呂化”アレンジも
暑い時季には、露天風呂に水を張って水風呂にするのもいいだろう。つまり、既存の壺タイプの水風呂と合わせて2種の水風呂にカスタムできる。
サウナ→水風呂→外気浴の流れを2種類の水風呂で変化をつけられるのは、楽しみの純増だ。
【アクティビティ】サウナの前後が充実!庭のど真ん中のパターゴルフ
那須白河の自然に包まれた一棟貸し。その魅力は、薪サウナやBBQといったアウトドア体験だけにとどまらない。今回の滞在で、個人的に予想以上にハマったのが、宿泊棟の中央にある「パターゴルフ場」だ。
このパターゴルフ、実はただの“おまけ”ではない。施設の中心にしっかりと据えられた芝のフィールドは、ショートコース仕様でコンパクトだが、絶妙な起伏と配置で、初心者から経験者までしっかり楽しめる作りになっている。
パターは右利き用・左利き用がそれぞれ1本ずつ完備され、ボールも十分な数だ。サウナに火入れをした後の待ち時間や、夕食の仕込み中など、ちょっとしたスキマ時間がアクティビティに変わる。
負けたらサウナなしで水風呂!? ゲームを作れるパターゴルフ
パターゴルフの使い方でおすすめなのはミニゲームだ。ちょっとした勝負が体験を盛り上げる。負けた人が次のサウナの火起こし担当、なんてルールを決めてもおもしろいのでは? 真剣にラインを読む敵、「惜しい!」と声をあげる味方。グループの雰囲気が変わるいいアクセントになった(ちなみに筆者グループは、負けたチームはサウナに入らず水風呂にドボン!という罰ゲームでかなり盛り上がった)。
普段ゴルフをやらない人でも、パターゴルフならサクッとできる。シミュレーションゴルフのような人工的な雰囲気より、開放的な自然で始めるパターはゴルフを始めるきっかけにもなりそうだ。
何度でも言いたい。サウナして食べて泊まるだけじゃない。サウナの合間の体験の濃さが違う。パターゴルフ場は、ちょうどよい“遊びの余白”として、「COCO VILLA 那須白河」の魅力を底上げするいい仕掛けになっている。
【COCO VILLA 那須白河】宿泊棟〜リビング・キッチン〜
一棟貸しの無人ヴィラ、宿泊棟に入っていこう。チェックインは事前に共有されたパスワードを入力して行うエアビーに近いスマートチェックイン方式で、非対面でスムーズに滞在がスタートする。
高い天井の開放感!リビングで過ごす、ゆったりとした時間
建物に足を踏み入れると、まず目を引くのは約15畳の広々としたリビング。吹き抜けの天井が開放感を演出し、天井のファンが心地よい空気の流れを生み出す。コの字型のソファの正面には、電力消費の少ないペレット燃料を使ったエコな暖炉が設置されており、気兼ねなく暖がとれる。家族や友人との団らんの場にぴったりの空間だ。
リビングとウッドデッキをつなぐ大きな窓は開閉可能で、気軽に屋外と屋内を行き来できる設計になっている。サンダルも備え付けられており、バーベキューの食材を運んだり、荷物を取りに戻ったりとスムーズな動線がいい。
料理をしたくなるキッチン
キッチンにはBALMUDA製の調理器具や家電が一通り揃っているため、近隣のスーパーで食材を買いそろえれば、みんなで料理を楽しむアウトドアリゾートらしい食事を堪能できる。食器の数も問題なく、冷蔵庫も大きいから、お酒は多すぎるぐらい買っていくのがちょうどいい。
【バーベキュー】那須の幸で作るサウナ飯
デッキには電気式のバーベキューグリルが常設されており、油や基本的な器具も充実。施設に着く前に地元のスーパーでお肉や野菜を揃えるだけで、本格的なアウトドアバーベキューが楽しめる。サウナでととのった後、研ぎ澄まされた味覚に届ける肉は格別だった。
【宿泊棟】選べる2種の寝室、グループ宿泊も快適に
宿泊棟には1階に約6畳の和室、2階にツインベッドの洋室があり、グループや家族、男女混合の旅行でも寝室を分けて使える。
畳が好きな人、ベッドがいい人、使い分けをカスタムできるのもグループ向きだ。
【COCO VILLA 那須白河】宿泊予約・料金・アクセス
薪割りから着火、露天風呂の温度調整まで、すべて自分たちで行うセルフスタイルはいいアウトドア体験になった。もちろん、着火剤やバーナーも揃っていて便利さも両立しているから、アウトドア初心者でも玄人も一緒に楽しめる。ちょっとした「手間」が逆に、宿泊に思い出を添えてくれた。
▽施設情報
施設名 | COCO VILLA 那須白河 |
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住所 | 〒329-3224 栃木県那須郡那須町豊原乙1-1855 |
アクセス:車 | 白河ICから約20分・那須高原スマートICから約15分 |
アクセス:電車 | 東京駅からJR東北新幹線「やまびこ」「なすの」で新白河駅まで約85分(駅からタクシーで約20分)。 |
駐車場 | 4台(無料) |
宿泊料金 | 2名 32,000円〜(1名追加毎に+5,000円) |
チェックイン/アウト | 15:00~|~11:00 |
公式サイト | 「COCO VILLA 那須白河」公式サイト |
好きな時間に、好きなだけ
施設内に他の宿泊者はいないため、入浴やサウナの時間制限も他人の目もない。夜にお酒を楽しんだ後に入るもよし、早朝に火をくべて静かな時間を楽しむもよし。完全プライベートなサウナ時間を、心ゆくまで堪能しよう。
▽「COCO VILLA 那須白河」施設情報はこちら